抄録
国土交通省直轄事業の調査・設計等業務においては,総合評価落札方式が導入されて以来,各種の低入札対策の効果もあり,低入札落札は著しく減少した.その一方で,平均落札率はこの2~3年において82%付近を横ばいで推移し,入札価格が調査基準価格近傍に集中する傾向が強まっている.これは,技術力において優位な参加者が,技術力の優位性を入札価格に十分に反映させていないことが原因であるものと考えられる.過度な価格競争は,短期的な企業の利潤に結びつきにくい人材育成や技術開発に要する費用の削減を促し,長期的には建設業全体の技術力低下を招くことが懸念される.こうした状況を踏まえ,本研究では,総合評価落札方式の実施状況を分析するとともに,受注者の聞き取りを通じて明らかになった評価方法の課題について検討した.