抄録
近年我が国の建設投資額は長期的に減少傾向を辿る一方で,建設業許可業者数の減少幅は投資額の減少に比して小さい傾向が見られる.このことは業界全体が供給過多の過当競争状態に陥っている可能性を示唆している.一般に需要量が供給量に対し減少し続ける産業の将来の見通しとして,企業が需要を奪い合ってしまい全企業が同質的に衰退してしまうシナリオと,一部企業の淘汰を含めた企業間格差の拡大が生じるシナリオが考えられる.本研究では建設投資の減少している事例として大分県における国及び県発注の土木工事入札を取り上げ,入札シミュレーションを用いて過当競争状態を経た後のシナリオを分析した.本研究の結果,県内の企業は発注量の漸次的な減少に対して,受注量格差と技術格差が共に減少していることが明らかになった.