抄録
東日本大震災の震災復興は,二年が経過しても目に見えて進まない.未曾有の大地震と津波が直接的な原因ではあるが,これまでの大規模地震災害への対策は内陸型地震への対策が主体であり,臨海型地震による広域への津波災害に対し,これまでの経験が生かせなかったことがその原因である.加えて基礎自治体や中央政府の復興へのシステム自体にも原因があると考えられる.基礎自治体には広域大規模災害への事前の備えがなく,中央政府では平時のシステムや法規制により対処したことが復旧・復興の遅れを生んだ.本論文では,基礎自治体が地域の実態に則した効果的な施策を実行する“Local Public Management”の観点から,迅速な復興へ向けての組織と法規制の在り方の課題を整理し,事前の対策から復興に至る一連の災害マネジメントシステムの必要性を見出した.