抄録
地球温暖化に伴い降雪を含めた降水量について,年ごとの変動が大きくなっている.多雪により除雪費が増大するリスクへの対応策は,国や地方公共団体の補正予算や予備費などの仕組みが整えられているが,降雪が少なく,請負企業が支払う費用に対し受け取る額が小さくなる少雪リスクへの対応は不十分である.
その上,入札制度の改革や近年の降雪状況の変化などのもと,請負企業が少雪リスクを負えない状況が発生している.今後とも降雪量の変動が大きくなる傾向が続き,担い手である除雪業者が減少すれば,我国の雪寒冷地域における冬期の生活の安全・安心・安定を確保する上で重大な課題となる.
そこで本稿では,降雪リスクを評価する際,除雪単価逓減則を考慮して少雪リスクを評価するとともに,請負企業が負う少雪リスクへの対応方策の必要性を述べる.