2014 年 70 巻 1 号 p. 1-10
ため池堤体の維持管理は効率的かつ経済的であることが重要である.本論文では,堤体内部の調査を簡易であるが,多くの情報を取得できる手法を提案する.弾性波測定の震源に締固めランマーを用いた2つのジオホーンによる内部の弾性波速度分布の測定方法,および電気探査,電磁波探査,弾性波探査結果を合わせて自己組織化マップを作成し,内部状況を推定する方法について提案する.また,実際のため池堤体にこの手法を導入し,内部状況を推定した事例を示す.
本手法は一つのため池堤体で3時間程度の測定で全行程を行えることから,1日複数個所の測定が可能であり,数多くのため池調査への活用には有効な手法である.