2015 年 71 巻 1 号 p. 1-18
管理対象となる膨大な社会基盤施設の中から,相対的に劣化の進展が速い部材を重点監視部材として位置づけるとともに,それらに対してはモニタリング等を利用した常時監視や,適切なタイミングで補修や更新を行う必要がある.しかし,通常の点検業務で獲得できる目視点検データからそのような部材群を抽出する手法に関しては,体系化された方法論が存在しないのが実情である.本研究では多階層混合マルコフ劣化ハザードモデルとその階層ベイズ推計を提案する.さらに,意思決定レベルに応じて階層化された劣化速度の相対比較を実施し,各レベルで着目すべき重点監視部材を抽出する方法論を提案する.さらに,高速道路の高架橋ジョイント部材への適用を通して,提案手法の有効性を実証的に検証する.