2015 年 71 巻 1 号 p. 19-32
現在の社会資本整備の維持管理においては,アセットマネジメントシステムが有効であるが,実際の現場展開には,実務者利用のための簡易性が不可欠である.本研究では,道路施設であるトンネル内に設置された照明設備の灯具を対象に,データ量の僅少性や現場実務者の運用性を考慮した劣化予測手法として簡易動的マクロモデルを提案した.この簡易動的マクロモデルは,トンネル単位を系として,その系の状態確率の動的変化をマルコフ確率過程上の時間変動としてマスター方程式でモデル化し,解法算出することで系の健全度予測を可能としたものである.本論文では,はじめに簡易動的マクロモデルによる健全度算出までの手法を解説し,更に実際の点検結果にモデルを適用して,材質毎の健全度算出からの劣化進行の差異を示すことでモデルの有用性を検証する.