日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
頸部刺創における術前画像診断の有用性
—18例からの経験—
山田 直人一氏 俊世安田 吉宏熊谷 謙片岡 祐一新藤 正輝西巻 博相馬 一亥大和田 隆
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2002 年 5 巻 3 号 p. 305-309

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抄録

頸部の刺創は鋭利な刃物で受傷することが多く,創は外見から判断するより深部に達していることが多いため,損傷組織を速やかに診断し治療を行う必要がある。最近の5年間に北里大学病院救命救急センターにおいて18例の頸部刺創患者を経験した。これらの症例より頸部刺創患者の術前の画像診断について検討した。受傷部位はZone 2が最も多く,自殺企図症例が15例と大半を占め,そのなかの14例に何いかの精神科疾患を認めた。すべての症例は手術室で処置を行った。また,術前に血管造影やCTなどの画像診断を行うことで創の状況を把握することができた。受傷部位がZone 1や3の症例はもとよりZone 2であっても術前の画像診断を行うことは,損傷組織の診断や術中操作の参考になるものと考えられた。

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© 2002 日本臨床救急医学会
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