抄録
高速鉄道における軌道狂い等に起因する輪重変動の抑制は,走行安全性確保のみならず,軌道保守量を低減するためにも重要である.本研究では,まず東海道新幹線でこれまでに実施されてきた著大輪重対策を振返り,現在の課題が輪重変動への影響が大きい短波長領域の軌道高低狂いの保守管理であることを示す.この波長域の検測精度は,最新の高速軌道検測車への偏心矢法の採用により改善された.次に,輪重変動と軌道狂いとの関係を実験的に分析し,軌道の長手方向に対する上下形状の曲率を用いて輪重を推定できることを明らかにする.そして,その妥当性を数値シミュレーションと試験走行データによって検証する.さらに,実務的には曲率と5m弦正矢値を組合わせて使用する方法を提案する.