2015 年 71 巻 4 号 p. I_23-I_34
社会基盤施設のアセットマネジメントにおいて,施設の劣化状態を予測することが重要である.現在までに,初期時刻からの経過年数を考慮した多段階ワイブル劣化ハザードモデルが開発されている.しかし,同モデルは膨大な推定時間を要することから,劣化予測をする際には,施設の劣化過程を時間に定常的なマルコフ推移確率を仮定して表現した,マルコフ劣化ハザードモデルを用いるのが主流となっている.本研究では,多段階ワイブル劣化ハザードモデル推定時の数値計算法として準モンテカルロ法を適用し,推定時間の短縮を実現する.それにより,マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を用いて,未知パラメータの事後分布をベイズ推定する方法論を提案する.最後に,実証分析として伸縮継手装置を対象とした劣化予測を行い,本研究の有意性を示す.