2015 年 71 巻 4 号 p. I_35-I_44
道路橋の直轄点検要領1)において,概ね2巡の全国点検で同じ部材・同じ部位に対する点検データが蓄積されている.この部材ごとの劣化特性と実際の我が国の代表的な橋梁形式を踏まえたFT構造とを組み合わせて落橋相当リスクの試算を行い,このようなリスク分析手法が道路事業において有効性があるかどうかについて検討を行った.
その結果,構造特性や部材ごとの耐久性能の違いが破壊確率や崩壊シナリオが実際にどの程度影響するのか明らかにした.また,道路橋の合理的な維持管理方法の立案や橋梁構造の最適化の参考とする目的に対して,実務上有意なレベルで耐久性の向上策の選択や性能水準の設定などが行いうることを示した.