2019 年 75 巻 1 号 p. 38-50
わが国の水道事業は管路等の施設が今後一斉に更新期を迎える一方,人口減少による収入の減少が予測され,事業の持続可能性に多くの問題を抱えている.その解決策として官民連携手法,とりわけコンセッション方式への注目が高まっているが,現状では水道施設の大部分を占める管路の維持管理・更新が民間事業者の事業範囲から除外される事例に占められており,その効果は限定的である.本研究ではコンセッション方式において,民間事業者へのインセンティブ付与のために事業実績に応じて契約延長及び追加的報酬の効果を定式化し,千葉県柏市水道事業の実際のデータを用いて分析を行った.その結果,管路の維持管理・更新まで含めたコンセッション契約を行う場合,事業実績に応じて契約延長を行う方法が適当であることを示した.