土木学会論文集F4(建設マネジメント)
Online ISSN : 2185-6605
ISSN-L : 2185-6605
75 巻, 1 号
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和文論文
  • 中野 敏彦, 宮田 正史, 稲葉 正明, 岩波 光保, 有田 恵次
    2019 年 75 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/20
    ジャーナル フリー

     開発途上国のインフラ整備において,その品質確保に設計や施工の技術基準は重要な役割を果たす.ベトナムの港湾分野においては,設計・施工基準があるものの,その規定が古く,新しい技術や工事に対応していないという課題を有していた.そこで,ベトナムの港湾設計・施工基準について,ベトナムの現在の状況に適合する新しい基準の作成を日本の協力によって行っている.

     本研究では,まず日本の港湾技術基準の国際展開に向けての考え方を整理し,日本の港湾施工基準をベースとしてベトナムの事情に合わせた港湾施工基準を作成する取り組みを行った.そして,日本とベトナムの港湾施工基準の特性を分析し,新基準策定の基本的考え方と策定された基準の特徴を論じるとともに,基準作成における留意点等を示した.

  • 富山 潤, 須田 裕哉, 崎原 康平, 山田 義智, 堀口 賢一, 岡部 成行
    2019 年 75 巻 1 号 p. 11-23
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル フリー

     琉球大学では,点検に多くの制約を受ける離島架橋に対して戦略的イノベーション創造プグラム(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program:SIP)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術の開発技術のひとつであるひび割れ画像解析技術の実証実験を行い,目視点検の結果と良い相関を得た.この結果は橋梁管理者に評価され,本技術が実橋梁の点検業務の一部に利用された.本技術の実証実験に対する沖縄での取り組みは,新技術を地域実装に導いたひとつの実装モデルといえる.

     本論文では,本技術が実証実験から地域実装に至った取り組み,経緯および課題について考察する.さらに,新技術のコストメリット,効率性および高度化についても考察する.また,新技術の地域実装を通して新しい技術開発が行われた事例についても紹介する.

  • 欅 健典, 内藤 直人, 渡邉 諭
    2019 年 75 巻 1 号 p. 24-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

     常時微動モニタリングを活用した橋脚の洗堀に対する健全度評価手法として,著者らは橋脚上で計測した微動から地盤振動を推定し,その地盤振動と橋脚上の微動のフーリエ振幅比から健全度評価に必要な固有振動数および減衰定数を得る手法を提案している.実用化に向けた課題として増水や強風といった外乱による影響を把握する必要があるため,台風通過時の常時微動モニタリングデータを基に検討を行った.その結果,増水時には地盤振動を問題なく推定できるが,強風時には推定精度が低下し,正しい固有振動数等を得ることが難しくなる可能性があることが分かった.これらをふまえて,常時微動モニタリングを活用した河川橋脚の洗掘に対する健全度評価をより適切に行うための留意点を整理した.

  • 野地 大樹, 堀田 昌英
    2019 年 75 巻 1 号 p. 38-50
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/20
    ジャーナル フリー

     わが国の水道事業は管路等の施設が今後一斉に更新期を迎える一方,人口減少による収入の減少が予測され,事業の持続可能性に多くの問題を抱えている.その解決策として官民連携手法,とりわけコンセッション方式への注目が高まっているが,現状では水道施設の大部分を占める管路の維持管理・更新が民間事業者の事業範囲から除外される事例に占められており,その効果は限定的である.本研究ではコンセッション方式において,民間事業者へのインセンティブ付与のために事業実績に応じて契約延長及び追加的報酬の効果を定式化し,千葉県柏市水道事業の実際のデータを用いて分析を行った.その結果,管路の維持管理・更新まで含めたコンセッション契約を行う場合,事業実績に応じて契約延長を行う方法が適当であることを示した.

  • 上 肇
    2019 年 75 巻 1 号 p. 51-62
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/20
    ジャーナル フリー

     不完備契約理論に基づいて岡本ほか(2003)は,BOT(Build Operate Transfer)方式がBTO(Build Transfer Operate)方式よりも事業費用削減の面で優れていることを導いている.また Iossa and Martimont(2012)は,BOT方式が優れた成果を上げるためには,十分な事業経験の蓄積により運営中に起き得る偶発事態の予測が可能となる成熟期間の必要なことを明らかにした.一方,日本の初期からのPFI事業を対象とした実証研究は,事業方式はVFMに影響を与えておらず,VFMは競争状況に応じ建設費の削減により生み出されているとの推定結果を報告している.本論文は,最近10年間に公募された事業を対象として計量分析を行い,先行実証研究の推定結果及び理論研究の成果との比較検証を行った.

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