土木学会論文集F4(建設マネジメント)
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特集号(論文)
橋梁の点検高効率化が橋梁の健全度分布に与える影響に関する分析 -新潟市を例に-
鳩山 紀一郎渡部 真大佐野 可寸志高橋 貴生
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_96-I_104

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抄録

 わが国における橋梁点検は今後の技術革新により大幅に効率性向上が見込まれる一方,その効率性の向上が橋梁の補修費用にどう影響を与え,更には将来の橋梁の健全度分布がどう変化していくのかは明らかではない.本研究はこの点を明らかにするために,新潟市を対象に実際の補修費データを利用して,橋梁の供用年数に対する健全度自然低下傾向,健全度低下による補修費増大傾向を分析した.また,点検時に精度に応じて健全度が正しく判定される確率も定義し,点検精度と点検頻度,補修予算を設計変数とし,健全度の分布状況を出力する維持管理シミュレーションモデルを作成した.シナリオ分析の結果,現行の補修予算下では点検精度向上は健全度の低い橋梁の減少には繋がらず,補修予算の拡大と点検頻度の効率化が健全度の高い橋梁の割合を増加させる可能性が示唆された.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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