2021 年 77 巻 1 号 p. 115-134
老朽化した下水道管渠が増加傾向にあるなかで,管渠の改築更新工事の効率化が重要視されている.特に管渠は埋設構造物であり,地中で複雑なネットワークを形成するという性質上,ある一定数の工事を集約化するような改築更新工事の水平的同期化施策が有効となる.そこで,本研究ではコンクリート管渠を対象とした目視点検データを用いて混合マルコフ劣化ハザードモデルを推定し,個々の管渠の劣化異質性を評価する.さらに,異質性パラメータ値と管渠の位置情報から空間的異質性分布をデュアル・カーネル密度推定により評価した上で,重点管理区域をスクリーニングするとともに,管渠の改築更新施策を検討するための方法論を提案する.最後に,大阪市が管理する下水道管渠への適用事例を通して,提案手法の有効性を実証的に検証する.