2006 年 62 巻 1 号 p. 113-120
ウェーブレット解析は非定常波形の時刻暦データに対して平均的な値ではなく時間ごとの周波数特性を得られることから,近年,数学,物理学,医学などの分野でよく用いられている.鉄道保線分野においても軌道狂い波形と車両動揺の地点ごとの波長や振幅を推定するために空間周波数解析としてウェーブレット解析の適用が望まれる.本研究は,その基礎的な段階として,通り狂い波形と車両の左右動揺における加速度波形に対してウェーブレット解析により卓越した振幅とその発生地点および波長の関係を求めた.この解析結果と現場との比較や波形相互の対比からウェーブレット解析が有効な手法であることを明らかにした.