土木学会論文集D
Online ISSN : 1880-6058
ISSN-L : 1880-6058
和文論文
費用便益分析に基づく公共投資政策の動学的不整合問題
河野 達仁能登谷 浩路
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 62 巻 1 号 p. 32-42

詳細
抄録
 費用便益分析は無駄な公共事業を行うといった政府の失敗を避けるために有効な手段と考えられている.しかし,費用便益分析の義務化等で,住民が費用便益分析に基づく公共投資政策を期待することになると動学的不整合問題が生じる可能性がある.すなわち,費用便益分析では住民の行動(顕示選好)に基づき効用変化を計測するため,費用便益分析に基づいて最適と判断される政策は住民の行動前後で異なる.そのため,住民が費用便益分析を戦略的に利用すると,いわゆる動学的不整合問題が起こる.本研究では交通政策を例にとり,費用便益分析の義務化がどのようにおよびどのような場合に最善の社会的厚生の達成を妨げるかを示す.
著者関連情報
© 2006 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top