土木学会論文集D
Online ISSN : 1880-6058
ISSN-L : 1880-6058
和文論文
QoL概念に基づく都市インフラ整備の多元的評価手法の開発
土井 健司中西 仁美杉山 郁夫柴田 久
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 62 巻 3 号 p. 288-303

詳細
抄録

 都市インフラ整備においては,適切なスコーピングの下で,様々な価値観に照らした総合的な公益性の判断が必要とされる.本研究では,多様な利害グループの共同利益の同時性という視点から,インフラ整備を評価する手法を開発している.これは個人・社会に跨る多元的な共同利益を表わすQoL概念に基づき,主体の価値観の違いに起因した整備効果の違いを可視化することにより,意思決定の透明性と当事者間の公平性の確保を支援するものである.本稿では,2004年に甚大な高潮被害を受けた高松港海岸の整備シナリオの評価に本手法を適用し,グループごとのQoL改善効果の違いを明らかにした上で,安心安全性,経済活動機会,生活文化機会,空間快適性および環境持続性という5つの要素に基づく総合的な公益性に関する分析を行っている.

著者関連情報
© 2006 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top