土木学会論文集D
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和文論文
長期記憶性を考慮した社会資本の生産性測定
塚井 誠人小林 潔司
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2007 年 63 巻 3 号 p. 255-274

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抄録

 社会資本の整備効果は,時間遅れを伴い長期的に出現する.本研究では社会資本の整備がもたらす長期生産力効果を考慮して,社会資本の生産性を測定する方法を提案する.そのために,地域生産関数における社会資本の長期的生産力効果を実数和分を用いて表現する.その上で,地域生産関数を外生変数を有する自己回帰実数和分移動平均(Auto-Regressive Fractionally Integrated Moving Averaged model with eXogenous variables:ARFIMAX) モデルとして定式化し,多地域時系列データを用いて推計する方法を提案する.実証分析の結果,地域生産関数に長期記憶性が存在しないという仮説を棄却できることが判明した.さらに,社会資本の生産力効果の長期記憶性を無視すれば,社会資本の生産性を過小評価する危険性があることが判明した.

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© 2007 社団法人 土木学会
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