2007 年 63 巻 3 号 p. 275-286
災害による人的被害の規模は,発災時の都市アクティビティに応じて大きく変化する.したがって,現実的な被災シナリオ想定を実施するためには,平常時における住民個々の活動状況を考慮することが必須である.本研究では,このような認識のもと,発災時刻における都市アクティビティを考慮した的確な被災想定を実施するためのプロセスを検討するとともに,そのプロセスに基づき被災シナリオ想定を実施するためのシナリオ・シミュレータを開発している.このシミュレータは,国勢調査などの統計情報に基づき,時刻に応じた住民の都市内分布を表現することによって津波発生時刻による人的被害量を推定することが可能であり,効果的な地域防災計画を立案するための戦略策定ツールとして活用することができる.