土木学会論文集D
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和文論文
ペイオフ外部性と性能規定型維持管理契約
石 磊大西 正光小林 潔司
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2007 年 63 巻 3 号 p. 344-359

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抄録

 本研究では,性能規定型維持管理契約において,異時点の契約間に介在するペイオフ外部性と事業者の私的モニタリングの可能性により,契約締結時の逆選抜と契約後のモラルハザードが発生することを指摘する.維持管理契約を短期契約の繰り返しにより構成した場合,罰則条項と競争入札を導入しても,逆選択とモラルハザードを抑止できないことを示す.一方,短期契約を統合化した長期契約を締結することにより,ペイオフ外部性を内部化することが可能となる.この場合,事業者が長期契約の実施にコミットできる場合,長期契約の実施により,逆選抜とモラルハザードを抑制することが可能となる.しかし,長期契約の実施に関するコミットメントが不可能な場合には逆選抜とモラルハザードが発生することを指摘し,あわせてその解決策についても考察する.

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© 2007 社団法人 土木学会
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