抄録
本研究では,従来研究の確定論的な枠組みでは未解決であった都市集積モデルの均衡選択問題に対し,確率論的な枠組みでの完全予見的ダイナミクスを導入した新しい均衡選択原理を提案する.具体的には,経済環境に不確実性(確率動学的なゆらぎ)が存在する下で,将来起こりうるすべて状況を確率的に織り込んだ労働者の地域間移住に関する意思決定モデルを定式化し,地域間移住ダイナミクスの均衡経路が確率的に実現するサンプルパスに応じて一意に決定されることを明らかにする.その上,従来研究における解の不定性が確定論的な枠組みのみで必要な仮定に依存した結果であることに言及し,提案モデルの均衡選択原理が頑健的であることを示す.さらに,長期的に実現する都市の集積 · 分散パターンが輸送費用のみに依存して決定されることを明らかにする.