2008 年 64 巻 3 号 p. 432-446
羽田空港の再拡張事業後に国際定期路線の乗り入れ制約を緩和する政策が検討されているが,首都圏に最近接する空港に新たな市場が創出されるという観点からも,国際航空市場へ大きな影響が生じることが予想される.本研究は,羽田空港の国際路線導入による市場への影響を推定するために,ネットワーク均衡モデルを用いた分析手法を提案し,複数の政策シナリオを想定してシミュレーション分析を行った.
分析の結果,ソウルをはじめとする近距離地点においては,羽田空港の国際路線への容量割当量によって国際航空市場に及ぶ影響が敏感に反応することが示された.さらに本研究は,就航地点選定方法の変化による各国際航空市場への影響の変化についても定量的に推定した.