抄録
本研究では,服部・和泉理論による粘度の予測手法に着目し,ポリカルボン酸系高性能 AE 減水剤を用いた場合への適用を図ることを検討した.石灰石微粉末を用いたペーストの粘度の経時変化試験結果との比較および既往の研究成果から,粒子間ポテンシャルが時間とともに変化するという仮定を設け,服部・和泉理論をベースにした経時変化予測手法の定式化を試みた.さらに,完全に分散している状態と完全に凝集している状態を仮定し,粒子一接触点あたりの粘度を実験的に決定する手法を示すとともに,標準形の高性能 AE 減水剤1種類と普通ポルトランドセメントという限定的な範囲での予測式を示した.さらに,セメントの種類が異なる場合の実験的な検討を行い,粒子間ポテンシャルにセメント成分が与える影響について考察した.