抄録
鉄筋コンクリート構造は,適切に設計,施工されれば,極めて耐久性の高い構造である.しかし,近年,鉄筋コンクリート構造物において,鉄筋腐食によりかぶりコンクリートが剥落する事象が見受けられる.鉄筋の腐食が進行すると,鉄筋の断面欠損を生じ,構造物の耐力を低下させる恐れがある.本研究では,コンクリートの中性化と内在する塩化物イオンの影響で鉄筋の腐食を生じたと考えられる経年約30年の鉄道ラーメン高架橋を対象に,腐食した鉄筋を採取し,実構造物の鉄筋の強度性状を現場の計測から簡易に推定する方法について検討した.その結果,鉄筋の最小径を測定することにより降伏強度残存率と見かけの疲労強度残存率を推定することができることがわかった.