抄録
安山岩のアルカリ反応性評価を目的として,岩石学的分析を行った安山岩の各種促進養生試験における膨張特性とあわせて検討した.モルタルを飽和NaCl溶液に浸漬する試験法では,トリディマイト,クリストバライトは膨張性があるが,火山ガラスは非膨張性であった.これは,火山ガラスの溶解を開始するpH が反応性シリカ鉱物のそれよりも高いためと推察された.一方,現行のJIS規格の化学法,モルタルバー法ではいずれの安山岩も「無害でない」と判定された.本研究ではこれらの現象の機構をモルタルの空隙水組成や各種鉱物の溶解挙動によって説明した.以上を基に,外部からアルカリの供給があるような環境においてもガラス質安山岩はアルカリ総量規制を遵守すれば膨張しない可能性を明らかにした.