抄録
コンクリートの初期ひび割れを予測するには,若材齢コンクリートに生じる引張応力を適切に推定する必要がある.正確な引張応力の推定には,その時点における引張ヤング係数が必要となるが,これまで比較的試験が容易な圧縮ヤング係数をもって代用されてきた.そこで本研究では,若材齢コンクリートおよび同モルタルの一軸引張実験を通じて引張ヤング係数の材齢変化特性を求めた.その結果,材齢1∼2日では,圧縮ヤング係数に比べ引張ヤング係数は大きく,このような傾向は水セメント比が高いほど顕著であった.また,複合則理論モデルを用いて引張ヤング係数の推定を行い,本研究で示す簡易モデルをもって若材齢コンクリートの引張ヤング係数を概ね適切に推定することができた.