抄録
本研究の目的は,供用中の道路における疲労ひび割れ発生状況と混合物の疲労破壊特性との関連性を明らかにし,疲労ひび割れの発生時期を力学的な理論に基づき算定する手法の妥当性を実証的に検討するものである.現道における開削調査から,アスファルト混合物層最下層に使用する混合物の配合によって疲労ひび割れの発生状況が異なることが確認された.さらに,室内での曲げ疲労試験結果から,配合が異なる混合物の疲労破壊回数には統計的に有意な差があり,疲労破壊回数は一定の確率分布に従うことを検証し,材料特性のばらつきを考慮したアスファルト混合物の疲労破壊規準を作成した.実測データを用いた層構造解析とマイナー則を用いて算定した疲労破壊時期と実際の破壊時期の差異を把握することができた.