本研究では,実環境を想定した濃度0.1∼0.5%の硫酸水溶液を用いて,セメント硬化体を最長12ヵ月間の常時浸せき試験に供し,その劣化の進行を追跡することにより,硫酸作用環境下におけるセメント硬化体の劣化進行の形態の分類,および侵食深さおよび中性化深さに及ぼす硫酸濃度と配合条件の影響について検討を行った.その結果,硫酸による劣化の進行は,膨張剥落型,浸透・溶解型および浸透・非溶解型の3形態に分類できることを示した.また,濃度0.1∼0.5%の硫酸水溶液が作用する環境下では,侵食成分の浸透による劣化が卓越するため,粗な配合である高
W/Cほど耐硫酸性が低いことが明らかとなった.さらに,
S/Cが大きくなると劣化部分の剥落が抑制されることが明らかとなり,細骨材の劣化抑制効果が示された.
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