2020 年 76 巻 1 号 p. 35-45
日本政府はまち・ひと・しごと創生本部を核として,プロフェッショナル人材事業,サテライトオフィス,地方創生インターンシップなどの取り組みにより,東京一極集中の是正に向けた取り組みを推進している.一方,産業ごとにその実態を把握し分析するまでには調査研究は進展していない.そこで,本研究では,公共投資による経済の活発化,災害時の復旧支援などの面で貢献度の大きい土木分野を対象として,人材育成の面を中心にしつつ,加えて費用・資産の面からも土木界の大都市圏への集中性の実態を把握し,土木と同じく公共性の高い教育,医療との比較を行った.その結果,組織や人材の分布について,一部の例外を除いて,人口分布や医療救急・教育分野と比較して大都市圏への集中性が大きいことが分った.