抄録
本研究では,ソバ根圏土壌でのアパタイト(HAP)による鉛不溶化特性を溶出量と化学形態から検証し,ソバ共存下でのHAPによる不溶化処理の可能性を考察した.ソバ生育2週目の根圏土壌は,HAPによって鉛溶出量が減少,最も溶解性の低い形態(残渣態)の割合が増加するが,ソバの生育期間6週目の根圏土壌では,2週目で抑制された鉛溶出量の37%から55%が再溶出し,残渣態割合も2週目に比べ減少した.これは,ソバの根から分泌される有機酸により鉛が再溶出したためと考えられた.しかし,再溶出は植物による下方への浸透抑制に比べ小さいものと考えられ,アパタイトと植物の併用による拡散防止技術は,両者を単独で用いた場合よりも効果が大きいものと考えられた.