抄録
排水中の固形物を除去する沈殿槽について,原水の温度上昇による槽内の流動状態変化及び処理水の悪化をCFD計算を用いて調べた.さらに,熱対流時に温原水が上昇して直接処理水出口に向かう流れを防ぐことと温度成層を壊して早期に元の状態に戻ることを意図した熱対流抑制板の効果について検討した.通常の沈殿槽では,原水と処理水の密度の逆転がある5℃の原水温度上昇で,槽内に温度成層が形成された.HRTの4.5倍の時間が経過してもSS流出率は2倍以上となった.熱対流抑制板を設置した沈殿槽は,温度変動が無い平常時はSS流出率がやや高くなるものの,温度上昇時には最大SS流出率が低く,また,元に戻るまでに要する時間が短くなった.