抄録
ウランバートル市の主要な大気汚染の発生源である,ゲル地区の石炭ストーブの大気汚染物質削減プロジェクトを対象に,石炭消費削減量や室内空気汚染の現地調査を踏まえ費用便益分析を実施した.まず,大気汚染対策の一つであるエネルギー効率を高める改善ストーブプロジェクトについて,その直接的な便益のうちの燃料費節減を明らかにするために,改善ストーブ利用者にアンケート調査を行った.その結果,改善ストーブで燃料消費量は従来のストーブと比較して約305削減されていることが明らかになった.改善ストーブプロジェクトの純現在価値は15年間で133.81億ドル,排出削減による健康便益は毎年875万ドルと推定された.その他の対策を含め,各削減プロジェクトの投資期間中の純現在価値及びPM10とPM2.5削減排出量を推定した.さらに,改善ストーブの効果と燃料(石炭とセミコークス)の効果を分析するために,ゲル地区における戸建てとゲルの室内空気質(PM2.5, PM10, CO)を測定し,その費用対効果を分析した.