2013 年 69 巻 7 号 p. III_445-III_451
下水処理場を流域の水・物質・エネルギー循寮の拠点とすべく, 第一ステップとして流入下水中有機物を活用した電力自給率の向上を目指し, 下水処理場内での有機物の挙動を使用電力量と合わせて解析した. 下水処理量48,000m3/日のモデル処理場を対象として, 有機物指榛であるCODからエネルギーポテンシャルを計算し, 各プロセスでの挙動を検討した. 消化ガス発電により約10%は回収されるが, 大部分は曝気槽と焼却炉での無機化により損失していた. 電力自給率の向上施策を「自立に必要なCOD」として評価したところ, 通常の初沈が5800mg/Lであるのに対し, 高効率固液分離の導入で2800mg/L(51%低減), 汚泥炭投入で1800mg/L(69%低減), 高効率散気装置で4900mg/L(16%低減)となると計算された. 単独の施策では電力自立は難しいが, 施策の組合せにより自立の可能性は高まるものと考えられた.