抄録
懸濁物質は水道水質障害を招く場合があるため,配水管路における挙動の知見を得ることが重要である.本研究では,わが国で多く使われているモルタルライニング管の管路にみられる懸濁物質の特徴を解析するとともに,その数が懸濁態元素濃度と同様の挙動を示すことが報告されている細菌について存在状況を調査した.懸濁態元素濃度を定量し主成分分析により解析すると,第一主成分はAl,Caと強い相関を示す因子でありモルタルの影響を示していると考えられた.すなわち,ライニングのモルタルに由来するAlやCaを含む粒子の水中への混入が懸濁物質の組成への影響要因となっていることが示された.また,既報におけるキノンプロファイル分析に基づく細菌数の推定では,水道水質基準を上回ると報告されていたが,全ての地点で一般細菌はほとんど検出されず,死菌か標準寒天培地では培養できない細菌であると考えられた.