2016 年 72 巻 1 号 p. 1-11
本研究では,中小河川で一般的な魚種に対する総合的な生息場の良否を表す指標として,水深,流速,底質,植生について,摂餌や休息などの行動別に複数魚種・成長段階に共通する最適生息域を表すカテゴリ区分を定め,これらを組み合わせた環境状態の魚の行動圏内における多様性を表す「生態環境多様性指数EED」を提案した.魚類調査の結果,EEDは魚種数と正の関係性を示し,EEDが0.1増加すると種数が約1種増加し,EEDが0.8以上であれば目視でも多様な河川環境と判定された.本指標により,利用時に対象魚種の選定や生息場適性指数の準備が不要となり,物理情報だけで生物多様性の観点から生息場評価が可能となる.