地域への適用性をふまえた斜面崩壊発生確率のモデルとアウトプットの開発

抄録

　本研究は，地域のニーズに応じた気候変動に対する適応策の誘導に利用できる土砂災害リスク情報のアウトプットの開発を試みたものである．リスク情報のアウトプットの開発は，山岳地域で多くの社会開発のなされている長野県を対象に取り組んだ．アウトプットの基盤となる解析を進めるため，従来開発された斜面崩壊発生確率を高度化(空間解像度，地質情報)したモデルを改良した．このモデルより求められた斜面崩壊発生確率を土砂災害警戒区域(特別警戒区域を含む)と重複させ，地域への適応策の実装化に向けた土砂災害リスク情報のアウトプットの開発を試みた．結果として，長野県の土砂災害警戒区域の降雨量変化に応じた発生確率マップが整備された．また，指定区域毎に降雨量の変化に応じた斜面崩壊発生確率の応答図を求めた．これら成果の開発より地域適用性の高い適応策誘導ツールの体系化が図られた．