抄録
本研究では,ダムに関する水質問題である濁水長期化現象の詳細機構解明を目指し,水温成層条件下で濁水が流入した胆沢ダム貯水池において,流速等の詳細な観測を実施した.濁質の浮遊・沈降に関与しうる流動状況を測定するために,時空間的に高い分解能を有する流速計を用いた.計測の際は,本研究で作製した水中架台とロープやブイにより,流速計を測定深度に係留させた.そのときの流速計の揺動状況についても解析した.計測時に浮遊していた濁質の粒度は,比較的細粒分のみで,上層から中層まで概ね均質な粒度組成であった.流速の変動は,表層から底層まで,概ね一様な状態を示しており,このような流動環境により,濁質の沈降が阻害されつつ,表水層中で拡散していると推測された.