2017 年 73 巻 5 号 p. I_407-I_414
本研究では,離散ウェーブレット解析を用いた気候モデル日降水量出力のバイアス補正手法を提案した.また,提案した手法と既存の複数のバイアス補正手法を,三つの地域気候モデルの日降水量に適用し,得られた降水量プロダクトを比較した.その結果,分散と持続した大雨の将来値は,バイアス補正と地域気候モデルによって大きく異なり得る可能性が示された.また,本研究で提案したバイアス補正手法は,持続する大雨に対して比較的優れた補正能力を有することが分かった.また,バイアス補正を行う事で夏季平均降水量の空間分布は改善される一方,9通りの降水量空間分布パターン毎の発生日数は,地域気候モデルや用いたバイアス補正手法によって異なる傾向があった.