抄録
2016年8月の約2週間の間に4つの台風に伴う連続した豪雨によって,北海道内では年降雨量に匹敵する降雨量を記録し,甚大な災害が発生した.本研究では,被災地のひとつである石狩川水系空知川上流域において,台風10号時の降雨観測手法による降雨の時空間分布の特徴を議論した.続いて,流域内の降雨観測の空間分布に起因する流域累積雨量の不確実性についての検討を全国1級水系の235流域に展開した.さらには,対象流域において降雨観測の空間分布に起因する不確実性及び気象予測によるそれが河川流量に与える不確実性を定量化した.その結果,気象予測が与える河川流量の不確実性よりも降雨観測位置をどこに選点するかによる降雨強度のばらつきが河川流量に与える不確実性が大きいことがわかった.