抄録
水環境汚染が急速に進行する東ティモールの首都ディリにおいて,汚濁物質の流出機構を明らかにし,市民レベルでも実行可能な水質保全策を立案することを目標として,4流域の13井戸と16水路測点で水質調査,水位調査を実施した.その結果,流域全体に地下水深度が小さい流域と,中上流で地下水深度が大きくなっている流域があり,前者では流出高が大きく,わが国のし尿ないし雑排水がそのまま排出されているのと同程度の汚濁物質を排出しているのに対して,後者では流出高が小さく,汚濁物質の排出量も1桁小さくなること,また浸透性や漏水のあるし尿処理施設があり,地下水深度が小さい地域での貯留可能年数の短縮など汚染を助長する恐れがあることが示された.地盤高が低く地下水深度が小さい地域では,水路の水の利用を制限するとともに,浸透性のあるし尿処理施設を水密性の高い施設に切り替え,定期的に汲み取りを行う必要があること,政府としては,このような地域に優先的に下水道整備を進める必要があることを指摘した.