2019 年 75 巻 7 号 p. III_281-III_288
河川水から抽出したDNA(環境DNA)をテンプレートとして無脊椎動物のcytochrome oxidase subunit 1領域の濃度を定量PCRにより定量した.さらに同一の遺伝子領域をメタバーコーディング解析し,得られた全塩基配列数のうち水生昆虫6目(カゲロウ,カワゲラ,トビケラ,ハエ,トンボ,コウチュウ)に属する塩基配列の相対存在比を,定量DNA濃度と掛け合わせ,水生昆虫由来の環境DNA濃度(copies/L)を求めた.捕獲調査により得られた水生昆虫の現存量と相関分析した結果,水生昆虫由来の環境DNA定量値は全採集個体数密度(相関係数0.74,p < 0.01),カゲロウ目,カワゲラ目,ハエ目の個体数密度と正の相関を示した.これらの分類群については回帰式を推定することができ,本手法が環境DNAを用いた水生昆虫量の定量に有効である可能性を示した.