本研究では,山間地に立地する新・旧埋立地が併設された処分場の観測井等において,相異なる水質が観察される現象に着目し,現地地下水の水質形成機構を明らかにすることを目指した.通年の水質調査と水質データの時空間的変動ならびに相関解析を行い検討した.また,MODFLOW6による地下水流動シミュレーションを実施した.水質データの解析結果からサイト内の一部の地下水は自然の水質形成機構と並行して人為的な影響を受けている可能性が示された.シミュレーションの結果から,新埋立地周辺に設置された地下水集排水管が,旧埋立地の浸透水を集水している可能性が示唆された.地下水排除工が地下水の水質や水量に与える効果を考える際にはサイトの水理地質境界内の全施設を対象とする必要があることが明らかになった.