2021 年 77 巻 7 号 p. III_151-III_160
農業地域で大量に発生する作物残渣を,破砕と水洗いにより養液栽培の培地とする検討を行った.ここでは,ナス茎葉を粗破砕し,水洗いの後ミニトマト栽培の培地とした.水洗いの効果を確認するため,微細化したナス茎葉に対して溶媒抽出を行った.抽出液を用いたミニトマト発芽試験では,水抽出液が最大の阻害をもたらした.また,阻害をもたらす物質は,70℃乾燥によりその効果を減じることができた.ミニトマト栽培(n = 3)では,比較系であるロックウールと比べると低調な成長となった.ただし,1株は比較系と同等の乾燥重量(栽培後)を示した.粗破砕ナス茎葉の培地の課題解決を図るため,基本的な物理・化学特性の把握を行った.同培地は,一般的な有機培地と比べてpHとEC値が高く,保水性も改善の余地があることを確認した.