2021 年 77 巻 7 号 p. III_359-III_365
小規模な下水処理場では,発生した余剰汚泥を濃縮,脱水して場外搬出している事例が多く,メタン発酵を普及させるためには,脱水汚泥の集約が有効である.本研究では,8カ所の下水処理場から排出される脱水汚泥のメタン生成ポテンシャル(Biochemical Methane Potential:BMP)の調査を行った結果,小規模な処理場では,夏季にBMPが低下することが明らかとなった.また,余剰汚泥のBMPは,脱水によって著しく増加したが,その増加割合に,処理場や脱水方式による違いは認められず,明確な季節変動はなかった.細胞外高分子物質(EPS)の測定を行った結果,脱水後にEPS含有量が増加したことから,凝集,脱水工程により,細胞の一部が溶出し,BMPが増加したと考えられた.これは,脱水がメタン発酵の前処理として有効であり,脱水汚泥の集約によるメタン発酵の有効性を示すものである.