2006 年 62 巻 2 号 p. 240-257
本研究では,同一種類の多数の施設で構成されるシステムの最適点検・補修政策について考察する.その際,システムを構成する施設の健全度を複数レーティングで記述し,健全度間の推移確率が使用時間に依存する多段階ワイブルハザードモデルを用いて施設の劣化過程を表現する.さらに,多数の施設を定期的に一斉点検・補修するようなシステムの劣化・補修過程を推移確率が使用履歴に依存するような非斉次マルコフモデルとして記述する.その上で,所与の劣化リスク管理水準の下で,ライフサイクル費用を最小にするようなシステムの最適点検・補修間隔と,最適補修政策を同時に求める最適点検・補修モデルを定式化する.最後に,トンネル照明灯具システムをとりあげ,本研究で提案した方法論の有効性を実証的に検証する.