抄録
北陸新幹線飯山トンネルでは,著しい膨圧現象が発生したため支保工を二次,三次と分割して施工する多重支保工法を適用した.多重支保工法は,それぞれの支保工を適切に施工することにより掘削に伴う変位を管理し変形余裕量内に地山の変位を制御する工法である.施工ならびに計測結果を整理し三次元弾塑性解析を実施することにより,二次支保工の一次支保工に対する役割,また二次支保工の支保工全体に対する効果,および工法の特長が明らかになり,多重支保工法が膨圧性泥質岩地山掘削工法として極めて柔軟性に富み,安全で合理的であることを確認した.