抄録
本研究は,道路斜面での斜面対策工の性能低下に関する不確実性を考慮し,斜面アセットマネジメントでの判断指標となるライフサイクルコストを評価する手法について提案すると共に,その手法の適用性について検討を加えるものである.具体的には,斜面対策工としてグラウンドアンカーを取上げ,その計測結果に基づき算定される,経時的なグラウンドアンカーの性能低下を考慮する.そして,その性能低下過程に含まれる不確実性を,時間空間における離散的な確率量としてモデル化し,自然ハザードとして降雨を想定した場合の,斜面の破壊確率の増加をリスク算定結果に反映させる.また,本研究で提案する手法を実際の道路斜面に適用し,本手法の道路アセットマネジメントにおける有効性に関する検討を加えた.