2006 年 62 巻 3 号 p. 519-530
近年,セメント等を道床バラスト内に注入して施工される既設線省力化軌道が本格的に施工されている.この工法は軌道保守の低減に非常に効果があるが,路盤が粘性土の場合,多量の降雨の後に路盤土の流出や空洞の発生等の路盤変状を生じることがある.しかし,列車荷重と路盤との相互作用によって省力化軌道の下で生じる路盤変状の発生プロセスがこれまで不明であったため,合理的な対策は開発されていなかった.筆者らは,路盤変状メカニズムを明らかにするために,飽和した粘性土路盤上で実物大の軌道模型を用いた載荷試験を行い,省力化軌道下の粘性土路盤の変状メカニズムを明らかにした.また,2種類の路盤変状防止対策工法についても実物大模型試験を行い,その変状防止効果を確認した.