2006 年 62 巻 4 号 p. 662-673
超大深度地下開発のアプローチとなる超大深度立坑は,その重要性を再認識されつつある.しかし,国内石炭産業の縮小に伴い,深度1,000m級の立坑はほぼ20年以上施工されていない.筆者らは超大深度立坑技術の継承と,定量的な立坑設計技術の確立を目的として,過去に施工された超大深度立坑の技術文献調査,およびかつて施工に従事された技術者からの聞き取り調査を実施し,立坑工事において発生する蓋然性の高い崩壊形態を調査した.その結果,立坑における崩壊のほとんどは高抜けと異常地圧による覆工破損の二つに分類されることが明らかとなった.さらに,その発生状況を検証したところ,この二つの現象は同じ原因により発生するものと判断された.